天使の贈り物
「奏介っ!!」
成実が奏介の方に声をかけると、
ソファ-から立ち上がった奏介さんは、
悠生さんと背中をあわせるように
ギターを構えて立ち上がった。
「Dreams。
奏介が、やる気になったんだもん。
傷とかよりも、旅立ち。
新しい始まりの日らしい、
Dreamsがいいよ。
演奏してよ」
成実はそう言うと……
腕の中の、煌貴くんは……嬉しそうに笑った。
「ほらっ、煌貴も喜んでる。
晴貴だって喜んでる。
彩巴、Dreamsはアンタも知ってるよ。
練習の時、最初に一緒に歌ったでしょ。
アルバムの中に入ってない
音源化されてない曲だけど
晴貴たち、
メンバーにとっては本当に想い出の曲だから」
成実が所定の位置にスタンバイすると、
スティックが打ち鳴らされて、
ドラムが勢いよく鳴り響く。
ベースの音が心地よく重なって、
それにギターが厚みを演出するように
重なっていく。
脳裏に浮かぶ歌詞を辿るように、
成実に必死についていくように
歌い続ける時間。
この時間が一つずつ増えるたびに
私の寂しさが埋められていく。