天使の贈り物 





曲の中に、何度も繰り返しながら変化を遂げる
メロディラインが……
私たちを包み込んで、
前へと前進させる包容力を感じさせて。




一曲、演奏し終わった後……
何とも言えない高揚感と、
一体感がそこに溢れてた。





「チクショー。
 やっぱり、無理か……」




最後の最後で
また震えだしてしまった指先。



さっきと同じように、
そーすけさんの隣に座って、
じっくりと揉みほぐしていく。




「大丈夫だよ。
 硬直したら、また解してあげれば
 いいじゃない?
 暫く触ってないんだよ。
 指が動かないなら、
 またゆっくりと動かしていけばいいじゃん。
 そーすけさんの大切な仲間たちは、
 指が動かない、そーすけさんを
 責めるような人たちなの?」




ううん。

一緒に関わって来たからこそ、わかる。

この人たちは、
そーすけさんを裏切らない。

美空さんを思い続けた、
そーすけさんを含めて
丸ごと受け止めて包み込んでくれる
そんな仲間たちだと思うから。





そして……私も……
私らしく、精一杯、
そーすけさんを支えていくよ。



美空さんみたいな支え方は出来ないし、
美空さんになりたいわけじゃない。





私は……私でいいの。




私らしい、私にしか出来ないやり方で
そーすけさんを支えていきたい。



そんな大層なことを言っても、
私にしか出来ないやり方が
どれなのかなんて正直わかんないけど、
やりたいって思えたことを
一つ一つこなしていくことが今は
大切なんじゃないかなって思えるんだ。




だから今は……
もう一度、ギターを取ってくれた
そーすけさんだから。



そーすけさんが思うままに演奏できるように、
そーすけさんがギターを持っても
悲しくないように、
楽しく笑っていられるように
私が支えていきたい。



自己満足の願いでも
大好きな人には、
隣で笑ってて欲しいから。 
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