黒猫拾ったら、吸血鬼でした。おとしものにはご注意を!
ふるふると首を左右に振る。店長から香るあまい匂いで、酔ったように顔がほんのりと赤らむ。



……アリスめ。



そんな私の思いを知ってか知らずか、噛みついたところを舐められ、思わず店長にしがみついてしまった。



「……誘ってんの?名前、呼んでよ」



低音ボイスにきゅんとする。



それが……いけなかった。声が良すぎて、思わず店長を名前で呼んでしまった――だって、きゅんとしちゃったんだもん!



「きょう、や」

「よくできました」

「……ん」



ご褒美だと言わんばかりにキスをされ、もう朝食どこじゃない。



朝食を食べ終わる頃には昼を過ぎてしまい、結局この日買い物を諦めて、ネットで買い物して後日届けてもらった。



店長はと言えば――すぐ通常営業に戻っていた。



……考えたくないけど。店長も吸血鬼か何かだったりして。



……うん、そんな事あるわけないデスヨ。



あははは………でも否定はできないんだよなあ。イケメンは油断できない。



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