黒猫拾ったら、吸血鬼でした。おとしものにはご注意を!
お言葉に甘えて、先にお風呂に入る。



浴槽は淡いラベンダー色のお湯に満たされている。確か入浴剤切らしてたはずだけど、ルインくんが買ってくれたのかもしれない。



「ラベンダー色だけど、レモンの香りがする。あーいいお湯加減……。上がったらどこで買ったのか聞いてみようかな」 



一時間ほどお湯に浸かってから上がり、棚からバスタオルを取ろうと手を伸ばした時――気まずそうに、頬を染めたルインくんがそこに立ち尽くしていた。





「…………」

「…………」



お互い沈黙。



奇妙な沈黙が流れる。



どうやらバスタオルを運んできたようだ。手には、きちんとたたまれたバスタオルが三枚ある。



顔は私より赤く、いつものルインくんじゃないみたいだ。



「あの……」

「すすすすす、すいません!す、すぐ出ていきますからっ」



バスタオル……持ってちゃった。


慌ただしく出ていって、どこかで頭ぶつけてなければいいけど。アリスもルインくんくらいの清らかさがあれば――いや無理か。


私はすぐその考えを捨てた。


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