黒猫拾ったら、吸血鬼でした。おとしものにはご注意を!
あの烏も帰ってなかったな。すっかり忘れていたが、仕方ない。



その辺の猫にでも聞くか。その町の事を知りたければ人より猫か鳥に、聞くのが一番手っ取り早い。



道端で寝ているどっしりした灰猫に話かける。



『おい起きやがれ。婆さん』

『ん……? 見た事のない顔ぶれだねお前さん』

『まだこっちに来たばかりだからな。そりより婆さんに聞きたい事がある』

『おや。通視ができると知っていたのかい』

『婆さんが?』

『おやまあ。知らずに声かけてきたんだね。それで、何を知りたいんだい?』

『烏――烏天狗の事だ』

『ほう。お前さん烏天狗と知り合いなんだねえ』

『まあな。いいから、早くやれ』



べしっと灰猫の頭を叩く。老若男女容赦ないのは……言うまでもない。



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