黒猫拾ったら、吸血鬼でした。おとしものにはご注意を!
しばしの沈黙後灰猫が、ゆったりした口調で答える。



『白狐と烏――神社が視えるねぇ。心当たりはあるのかい?』

『神社……雪白神社か! 確かこの近辺だったな。またな婆さん!』

『まるで台風だねえ』



黒猫の姿で疾走する。



あのバカ狐を祀るなんて、人間のやる事は理解不能だ。



白狐の匂いを知っていれば、目的地へたどり着く事など造作もない。



吸血鬼は嗅覚が優れている。一度知った香りは、何があっても見失わないという特殊能力つきである。


バカ狐とマイペース烏はよく知らないが。正直自分が一番優位だと思っているし、知る必要もない。



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