春に想われ 秋を愛した夏
春斗が仕事へ行く前に、一緒にどこかでランチをする事になり、二人で少し早めにマンションを出た。
九月に入ったというのに外はまだまだ暑くて、照りつける太陽がジリジリと焦がしていくようだった。
「今日も、暑いね」
「倒れないように、ちゃんと水分摂らなきゃだめだよ」
「わかってます」
はい、先生。と右手を上げると、その手を繋いで歩き出す。
なんだか学生気分で、気恥ずかしい。
「昼。何が食べたい?」
「春斗はいつも何を食べてるの?」
「僕は、自分で作ったものを食べてから出るか。あとは、塾のそばの定食屋かな」
「春斗が定食って、イメージがわかない」
「僕ってどんなイメージ?」
「なんか、おしゃれなカフェとか、イタリアンなんかで食べてそう」
「残念ながら。僕はそんなにしゃれていないよ」
私の想像に肩をすくめている。