春に想われ 秋を愛した夏
たどり着いたコーヒーショップは賑わっていて、当たり前にクーラーも効いている。
その涼しさにほっと息をつき、アイスラテを頼んだ。
できあがるまでの間に携帯を確認すると、メールが一件届いていた。
春斗からだ。
春斗とは、中華パーティー以来会っていないけれど、メールでのやり取りは時々していた。
春斗は今、、会社事情で勤め先のかけ持ちを強いられているらしく、かなり忙しくしているようだった。
塾の講師も人手不足なのだろう。
人を一人新たに雇うよりも、掛け持ちさせることで経費を削減しているのかもしれない。
どこも大変だっていうことか。
春斗からのメール内容は、久しぶりに時間が取れたからまた三人で飲もう。というものだった。
私と塔子は、一週間のうちの半分ほどはあの居酒屋に通っている。
今日もそこで塔子と飲む約束をしていることを伝えると、了解。と返信が来た。
出来上がったアイスラテを受け取り、勇気を出してまた攻撃的な日差しの照らす外へと出る。
暑さにふぅーっと息を吐くと、まるでその息と一緒に生気までも流れ出てしまったようにクラリと視界が揺れた。
あれ……。
この感覚は、ちょっとマズイかも……。
貧血にも似た眩暈に、会社へ戻る足を速める。
ツカツカと早足で歩きながら、無理してでも少しくらい魚やご飯も胃に入れておくべきだった。と後悔していた。
急ぎ足でオフィスの入るビルのエントランスに飛び込み、攻撃的な暑さから逃れて溜息を吐いてみてもクラリとする感覚は消えずに、ふらふらと近くの来客用テーブル席の椅子に腰掛けるた。
汗の滴るラテのカップを力なくテーブルに置き、右手で頭を支えるようにして俯く。
なんとなくする頭痛と吐き気に、熱中症かもしれないと深く息を吐いた。
体調の悪さに、食事がうまく摂れていないことも影響しているんだろうな。