○○彼氏。~バレンタイン編~
すると、左手用の手袋だけを取り、
「こっちは美帆ね」
と言って、右手用を返す拓真。
「え、あたし今まで着けてたし、拓真がどっちもつけなよ」
そういうと、いいからいいから、と言ってあたしの手に手袋をつける。
そして、
「こうすれば寒くない」
拓真はあたしの左手を手に取り、そのまま自分のポケットへ入れた。
「いいよね、この繋ぎ方。ひとつの手袋で二人ともあったかいし」
不覚にも、そう言って微笑んだ拓真に顔を赤くしてしまった。
「あはは、照れてる照れてる」
そんなあたしを見て、拓真はご機嫌そうに笑う。