○○彼氏。~バレンタイン編~
「からかってごめん!!だから、美帆が作ったガトーショコラ、俺にちょうだい?」
「やだ。絶対あげない」
もうちょっと優越感に浸りたくて、内心ほくそ笑みながらそう返す。
「じゃ、いいよ。俺にくれるまでこの手離さないから」
なに!?離さないだと!?
拓真の方を見ると、横目でこちらを見下ろしながら悪戯な笑みを浮かべている。
「なっ、なっ・・・・・!!!」
言葉が出ずに、そのまま拓真に引っ張られる。
周りには人、人、人。
たくさんの生徒たちがいる中で、あたし達は片方ずつ手袋をつけてもう片方は拓真のポケットの中。
はたから見ればさぞ仲のいいイチャイチャカップルに見えることだろう。
現に、チラチラと数人の生徒がこちらに注目している。
「わわっ、わかった!!!あげる!!あげるから!!」
半ば叫ぶようにそう言うと、
「え、」
と、少し残念そうな拓真。