○○彼氏。~バレンタイン編~
「はじめまして。兄の春希です」
「はははっ、はじめましてっ!!ゆゆ、優希とお付き合いさせてもらってる中園愛歌です!!この度は急な訪問申し訳ありません!!!」
ガバっと勢いよく頭を下げたあたしを見て、おい、と呆れたような声を出す優希。
「はは、面白いね、愛歌ちゃん」
「ってか、出かけるんじゃなかったのかよ」
少し不機嫌そうに優希はそう言った。
「そんなに心配しなくても、今から出かけるよ。一目優希の彼女見とこうと思って」
春希さんのその言葉に、さらに不機嫌な表情をする優希。
それを知ってか知らずか、春樹さんは
「じゃ、邪魔者は消えますよ~。愛歌ちゃん、ゆっくりしてってね」
と言うと靴を履いて出て行った。
「お兄さん、いたんだね」
春希さんが出て行った玄関の方を見ながらそう呟くと、
「まだ下にもいる」
と言った。