○○彼氏。~バレンタイン編~
それでも、やっぱり好きな人とのバレンタインだし、彼氏にチョコを作るっていう楽しみと、その作ったチョコを秋斗に食べてほしい気持ちがあった。
「秋斗にとっては、たかがバレンタインかもしてないけど、私にとってはここ最近一番楽しみにしてた行事なの」
そこまで言うと、鼻の奥がツーンと痛くなって、目頭が熱くなった。
「…………もう、いい」
秋斗に背を向けて歩き出そうとすると、
「おい、」
と言って秋斗が私の腕を掴んだ。
「離して!」
掴まれた腕を振りほどいて再び歩き出すと、秋斗はそれ以上私を追っては来なかった。