いいわけ


「今回は入部希望者が多いなあ!」

部長の佐和先輩は嬉しそうに笑う。身長は男の人にしては小柄だったけど、身体つきは逞しかった。

あたしら1年生はほとんどが初心者みたいだった。加奈と数人は経験者で、実力の差はかなりついている。

正直な話、上手くなりたくてこの部活に入った訳じゃなかった。加奈がいたし、なんてったって顧問の人がやる気のない先生だと噂を聞いていたから。

顧問は初めに挨拶をしてすぐに職員室に戻る。噂どおり怠け者な先生のようだ。そのあと佐和先輩はそんなの当たり前のように普通に挨拶してくれた。

「えー、俺ら4人は今3年ですぐに引退するけど、よろしくな!」

佐和先輩の他には、男の先輩が1人と女の先輩が2人だった。

他に先輩らしき人は見当たらなかったから、2年生はいないみたい。先輩たちは1年生が20人も入部してくれて嬉しそうだった。


それから準備運動をして早速打ち合いを開始する。加奈のような経験者ならすんなりと馴染んでいたが、あたしは暫く運動不足だった為身体が全然動かなかった。

あたしは同じ初心者の1年生と打ち合いをすることになった。チビのあたしよりさらに小さい男子だった。


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