いいわけ


「なあ、ずっと気になってたんだけど、あんた身長何センチ?俺の方がデカい気するんだけど」

あたしはプッと笑いそうになった。やっぱり身長気になってたんだ!

背中どおしを合わせて背比べをする。加奈やその友達に見てもらったけど、2人とも同じ位だった。

「あたしのほうがおっきい!」
「いや、俺だろ」

負けじと背伸びをして言い争いをしたけど、五十歩百歩だ。もちろん加奈やその友達のほうが断然大きい。

まさかこんな風に言い争うのが楽しいだなんて、今まで思ったことがなかった。

「あ、そういえば名前、まだ聞いてなかった」
「あー、木之下啓太。木之下って名字、他にもいるから下の名前で呼んで」
「じゃあチビ太で」
「俺は犬かよ!」

あたしの啓太に対する印象は、子どもっぽい、だった。どんな人とでも仲良くなれる人懐っこさと、あたしと対して変わらないチビな身長は、なんだか弟みたいだ。

あたしは啓太に興味を持った。一緒にいて楽しいのは勿論、何か惹かれるものがあったんだと思う。


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