いいわけ
啓太はチビで人懐っこい。若干人見知りのあたしでも話しかけやすいと思ったんだから、きっと友達は多いんだろうな。
「おー、大久保じゃん」
啓太は女子に囲まれながらあたしに声をかけた。それがちょっと嬉しくもあり、恥ずかしい。
ニコニコと人懐っこい笑みでこっちを見るから、なんだか胸が弾けそうになった。
きっとあの女子の群れにも啓太のことを好きな子がいる気がする。そう思うと、みんなあたしより可愛いくて輝いてる気になる。
段々と悪い方向に考えてしまって、知らぬ間に口を固く結んでいた。
「どした、誰に用あんの?」
「……いや、特に用はないんだけど……」
素直じゃないあたしは軽く質問を流す。周りに人は少なくなっていた。
「あ、そ。ま、座れば?」
啓太が自分の横の席に目配せをする。それって、話ししようってことなのかな……?
あたしはその席に座り、さっきとは違い妙に高いテンションで部活の話を切り出した。