いいわけ
田舎町のここではそういうことが多い。中学校は1つしかないからほとんどが小さい頃からの知り合いだ。

高校は隣町のこの高校を選ぶ人が8割くらいだった。残りの2割は、頭の普通な高校に行くか必ず受かる頭の悪い高校に行くかのどちらかだった。

隣町には中学校が2つあってその大半の生徒がこの高校に来る。あたしがいた中学校と隣町の2つの中学校で、割合は3分の1ずつくらいだった。

つまりはクラスの3分の2は知らない人で、小学校、中学校を繰り上がって生きてきたあたしの心境は、周りに馴染めるのかどうか不安だった。


瑠璃と分かれ教室に入って出席番号順に並ばれた机を探す。全てが手探りで、とにかく緊張と不安でガチガチだった。鞄の持つ手に汗が滲んだ。

あたしは自分の席に着いて1つ溜め息を吐いた。入学早々からいじめられるのだけは勘弁。

やっと周りを見回す余裕が出てきた。前の方を見ると小学校から同じ経緯を辿った幼馴染みがいた。

「あっ!加奈!おはよう!同じクラスで安心したよー!」
「ゆめ!?良かったー!1年間よろしく!」

あたしらは久しぶりの再会のようにはしゃいだ。緊張が一気に解けてついテンションが上がってしまった。

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