いいわけ
その日の部活が終わると、いつもは帰りたくないのに今日は足取りが軽い。
啓太に学校で会えるのもいい。でも2人だけのメールを楽しみにしていた。
あたしは割とメールは好きな方だ。好きな人とだったら特にメールの方がいい。
面と向かって話すのは楽しいけど、緊張して舌は回らないし恥をかいたりする。そんなみっともない姿なんか、あまり見せなくなかった。
家に着いたら早速ケータイを凝視した。くまなく見つめても、まだメールのマークはない。
やっぱりただの部活仲間だから、用事がある時にしかメールくれないのかな……。それとも、机に書いたアドレスが間違ってたとか?
また考えがマイナスに進み、さらにそわそわとしだす。1分おきにケータイを睨んで小さくため息。
そんなことを繰り返してたら、案の定お母さんに何事かと聞かれた。あたしは適当に嘘をつき、脱力したまま部屋に向かった。
それから惰性でご飯を食べ、早めに睡眠を貪る。寝る前にもう1度ケータイを覗きこんだけど、やっぱり来ていなかった。