いいわけ


その日の部活が終わると、いつもは帰りたくないのに今日は足取りが軽い。

啓太に学校で会えるのもいい。でも2人だけのメールを楽しみにしていた。

あたしは割とメールは好きな方だ。好きな人とだったら特にメールの方がいい。

面と向かって話すのは楽しいけど、緊張して舌は回らないし恥をかいたりする。そんなみっともない姿なんか、あまり見せなくなかった。

家に着いたら早速ケータイを凝視した。くまなく見つめても、まだメールのマークはない。

やっぱりただの部活仲間だから、用事がある時にしかメールくれないのかな……。それとも、机に書いたアドレスが間違ってたとか?

また考えがマイナスに進み、さらにそわそわとしだす。1分おきにケータイを睨んで小さくため息。

そんなことを繰り返してたら、案の定お母さんに何事かと聞かれた。あたしは適当に嘘をつき、脱力したまま部屋に向かった。

それから惰性でご飯を食べ、早めに睡眠を貪る。寝る前にもう1度ケータイを覗きこんだけど、やっぱり来ていなかった。

< 21 / 45 >

この作品をシェア

pagetop