いいわけ


「……め、ゆめ、これ、あんたの知り合い?」

寝ぼけた目を擦りながらお母さんがかざしているケータイを見た。そこには、もう開封されている啓太からだと思われるメールが。

本文には「これ俺の」とケー番が書かれていた。

「そ、そうそう!あたしの知り合い!」

焦りながら受け取るあたしに、お母さんはニヤニヤと笑った。

「なんでもいいけど、時間は守ってよ」
「はーい」

あたしの家は厳しいとよく友達に言われる。メールは11時まで、門限は7時までと決められていた。

これでも中学の時と比べれば緩くなった方だから嬉しい。


『つか、啓太だよね?名前書いてよ(笑)』

味も色気も素気もないメール。自分の頭の回転の遅さに呆れる。それから少ししたら返事が返ってきた。

『俺だって分かったんなら文句いうなよ(笑)』

やっぱりあたしたちはメールでも普段どおりだった。それでも2人離れてるのにこうやって繋がってて嬉しい。

顔がニヤけつつも少しだけやりとりを続けて、あたしは今日知った啓太のアドレスを眺めた。

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