いいわけ


それは少しマイナーで、でもあたしの好きなバンドの名前が入ってた。その当時、あたしの周りに知ってる人が全然いなくて、啓太にすごい親近感を感じた。


次の日の部活、早速啓太に聞いてみた。

「ねえ啓太!アジカン好きなの?」
「え、アジカン知ってんの!?」

あたしたちはとにかく興奮して話しまくった。だってこんなに感覚の似てる人に出会うのは初めてだったから。

帰りに自販機で買うジュースもパンも同じものを選んだし、好きな漫画もゲームも一緒だった。

同い年で身長も一緒で、本当に双子みたいだと思った。何より啓太と話してる時が楽しかったし、1番ドキドキする。

あたしは着実に啓太にハマッていった。彼氏だとか恋人だとかそんな関係じゃないけど、もう1人の自分みたいに近い存在な気がする。

強いて言うなら運命のような。そんなもの、今まで全然信じてなかったのに。

けれど今、少しずつ運命なんじゃないかと思い始めてきたあたしは、きっと重症だ。


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