いいわけ
その日も、日常になりつつあった啓太とのメールを楽しんでいた。あたしは軽く冗談のつもりで恋バナを切り出した。
『そいえば啓太って彼女とかいるの?』
内心あたしは大丈夫だろうと鷹をくくっていた。登下校だって男友達としていたし、他の女子と2人きりで話してる場面を見たことがなかったから。
いつもなら早く来る返信が何故か遅い。もしかして地雷を踏んでしまったのかなと訝ってる時、ケータイが震えた。
『いるよ。遠距離だけど』
……まさか、そんな。啓太はあたしに一言も言わなかったし、そんな素振りすら垣間見えなかった。
あたしはすごい落ち込み、なんて返事をしたらいいか分からなくなる。どうしよう……全然知らなかった。
『え、いたの!?なんで言わなかったのさー!』
とりあえず気持ちを悟られたくなかったから、なるべく普通に返す。でもよく考えてみると、今度は罪悪感が募ってきた。
『だって絶対からかうだろ(笑)』
あたしはここ最近毎日と言っていいほど啓太とメールしてる。彼女がいるにも関わらず。彼女さんに悪いな……と頭で分かってていても、メールを辞めることは出来なかった。