いいわけ
次の日、あたしは早速その事実を加奈に話した。案の定加奈は驚き、あたしに詳細を聞く。
「どれくらい続いてるの?」
「1年だって……」
その1年の間、彼女は啓太の横に並び、啓太の笑顔を見て一緒に笑ってたんだろうか。手を繋いだり、もしかしたらキスもしたのかもしれない。
あたしの中は嫉妬でいっぱいだった。でも本当はそんなのおかしい。だって啓太が認めた唯一の彼女なんだから。
「ゆめ、それは手出ししない方がいいよ」
「う、ん……」
そんなの無理だ。こんなに気持ちは膨らんでしまってるのに。こんなに啓太のことが好きなのに。
「でも……」
加奈は少し言葉を詰まらせた。真面目な性格の加奈は、悪いことは絶対しないような人なのに。
「片思いは辛いよね……少しくらいなら積極的でもいいんじゃない?」
彼女がいる人に恋をするなんてタブーなのに、加奈はあたしの気持ちを悟ってくれた。そして軽く背中を押してくれた。