いいわけ
加奈には中学の時から好きな人がいる。もう何年も片思いしてるのは一途で純粋で、すごいことだと思う。加奈は片思いの辛さを良く知ってるんだと思った。
「……加奈、ありがとう」
清香もあたしが啓太を好きだと薄々感じてるようで、あたしは躊躇いながらも清香にも全てを話した。
清香は迷いながらも頑張れと応援してくれた。それはすごいありきたりな言葉なのかもしれない。でもあたしにとってそれは本当に嬉しいことで、昔に戻れた気がした。
たまにふと見せる、あたしに対する清香の申し訳そうな顔を見ると、憎んでいた気持ちも薄れていく。
それでも昔のことを完璧に忘れるだなんてできない。あたしの中での葛藤は次第に大きくなっていった。