いいわけ

啓太からの返事はなかなか来ない。待ってる間がいやに長く感じて、お風呂に入ったり弟と話したりして気を紛らわせた。

気づけばもう10時半で、ケータイは11時にはお母さんに返さなくちゃいけなかったから、急いで部屋に戻る。

暗闇の中チカチカと光る青いランプ。見たいような見たくないような……

震える指でボタンを押した。


『俺、好きな人できた』


好きな人……。啓太はどういう意図で送ってきたのかな。別れてすぐ報告してきたし、これはやっぱり…と期待が高まる。でもどうしても少しの不安が拭えなくて、木之下さんの笑顔がちらついた。

なんて返信したらいいんだろう。勘違いしてたら恥ずかしいし、もしかしたら木之下さんとの仲を取り持ってほしいという意図なのかもしれない。

……ああ、だめだ。考えれば考えるほどややこしい。結局無情にも時間は11時を過ぎ、返信出来ぬままお母さんにケータイを渡す。

あたしは眠れぬ夜を過ごした……なんてこともなく、しっかり熟睡した。

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