いいわけ


入学式も終わり、残るはLHRだけとなった。少しの休憩時間の間に加奈とトイレに行き、教室に戻ったら清香はまた近くに来る。

「入学式、どうだった?」

懸命に話に入って来ようとしている清香をシカトすることはできない。

確かに今は好きではないけど、その行動はすごいと思う。あたしは嫌われてると分かってて、話しかけることなんてできないから。

「あー、うん、ヒマだった」
「つかゆめ、2組のあの人めっちゃ格好良かったよね!」
「あ!それあたしも思った!」
「身長高いし、筋肉ついてるし!」
「アハハ!加奈、どこ見てんのー!」

黙って近くにいる清香を可哀相だとは思わなかった。昔、清香があたしにしてた苦しみを少しでも分かってもらいたかったから。

結局、小学校からの気の許せる友達を根から嫌うことなどできない。

人間ってそういうものだと思う。ただ悪い所ばかり目についちゃうだけ。時間が経てば、もしかしたら、って思う。

現に清香はあたしのことをもういじめたりしない。人の気持ちは変われるんだ。

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