いいわけ


旅館の廊下の隅にいたのは、同じクラスの光。クラスのムードメーカーで、よく皆を笑わせていた。

「あのさ……俺と付き合ってくれねーかな?」

そして最初の夜、あたしは期待通り光に告白された。

途端に顔が熱く感じ、お風呂上がりなのに余計に汗をかいた。光もあたしも恥ずかしくて顔を見ることさえできない。

だって今までは本当に友達だと思っていたし、そんな素振りさえ見たことなかった。

それでもあたしは好きだったし、このドキドキは恋なんだと思えた。

とにかくこの気まずいような甘ったるいような空気をなんとかしたくて、あたしは、うん、とだけ返事をして部屋へ一目散に走る。

それから部屋にいた友達にいきさつを話した。

あたしは内心浮かれていた。告白だなんて滅多にされたことがないから。だからこの時の皆の反応はよく覚えていない。

そして次の日、修学旅行の2日目からいじめは始まる。

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