いいわけ


あたしが異変に気付いたのはバスに乗った時だった。隣の席は清香で、ずっと窓の外を見ていて始終無口だった。

「今日も天気いいね!楽しみー」
「……ごめん。具合悪いから話せない」
「あ、清香ごめんね」

初めは本当に具合が悪いんだと思っていた。だけど、前や後ろに座っていた友達とは普通に話す清香。そしてその友達もあたしには一切話しかけようとはしなかった。

あたしが話しかけたら、うん、とか、そうだね、とか返事してくれる。けどそれ以上は何も言わない。

不安が少しずつ膨れ上がってくる。確信は持てないけど、もしかしたら避けられてる……?




そしてバスから降りた途端、あたしは確信を持った。あたしはグループから外されていた。

先生は歴史的建造物の前であれやこれやと説明している。今のあたしにはそんなこと微塵も興味がなかった。

いつも一緒にいた8人のグループは、今や何事もなかったかのように7人で纏まっていた。

あたしは興味のかけらもない建造物を1人で見て回る。そのあとも全て1人で行動した。

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