宿った命
修平は立ち止まり、リーフをじっと見つめた。
証明?出来るわけがない。
そもそもそんな作り話のようなことが存在するはずがないのだ。
修平はそう思いながら怪訝そうにリーフを見る。
それでもリーフは自信ありげに修平の目を見た。
〈何が見たい?〉
「ちょ、ちょっと待てよ。いきなりそんなん言われても訳わかんねぇよ」
〈・・・じゃあ、とりあえず・・・〉
リーフは少し考える様子を見せ、しばらく黙った。
一体、何をするつもりなのか、修平には全くわからない。
授業開始のベルが鳴った頃、リーフはようやく顔をあげた。
〈今からこの部屋の中のものを燃やしてあげるよ〉
「は・・・?」
状況がよく分っていない修平には見向きもせず、リーフはそのエメラルドの瞳を静かに閉じた。
〈火の精霊、サラマンダーよ。我に力を分け与えよ〉
そっと呟くようにリーフが言うと、リーフの目の前にある本だらけの部屋、つまりは図書室が一斉に炎をあげた。
「お、おい!何したんだよ!?こんなことして・・・-」
本が沢山並ぶ棚は明るく、オレンジ色に染まっている。
リーフはその様子をじっと見つめるだけだった。
修平が焦り、近くに置いてある消火器を持って前に出ると、
リーフが手を翳した瞬間、修平の体が宙に浮かんだ。
「うわ・・・っ!?」
〈じっとしてろよ。邪魔するな〉
「はぁ!?これ、どうにかしないと・・・!!」
〈この地に下りたしサラマンダーよ。我の意志に応えて消滅せよ!!〉
リーフの叫びと共に、それまでうなりをあげていた炎が一瞬のうちに消えてしまった。