宿った命
リーフはそうすることが出来なかった。
ラックが眠っている時、そっと呟いた言葉に戸惑ったからだった。
≪明日は・・・リーフに名前・・呼んでもらえるかな・・・≫
ラックは不安だった。
リーフに信頼してもらえないことが。
いつも冷たい視線を向けられることが。
そんなラックの寝言を聞き、リーフはラックを他のやつから守ってやろうと決めたのだった。
〈でも、遅かったよ〉
ラックは魔法をかけられ火傷を負った。
リーフが助けに入らなかったら、もしかしたらラックは死んでいたのかもしれない。
それでも、リーフは自分を責めた。
自分が妬まなければ、ラックは傷付いたりなんかしなかったのに・・・。
〈それから決めたんだ。俺はもう、ラックを見放したりしない。2人でやっていく。
そう決めて人間界にやってきた。俺とラックはそういう繋がりでここまできたんだ〉
それまで黙って聞いていた修平は、2人の深い絆があることを知り、
かける言葉もなく、ただじっとリーフを見つめていた。