宿った命
「山下?・・・と、A組の神谷じゃないか。お前ら何やって―」
先生はちょうど黒板に文字を書いていて、修平たちを見るとその手を止めた。
クラスメートたちは繋がれたその手を見て、なにやら噂話を始める始末だった。
修平はちょうど隅っこにある紗季の机へ歩き、カバンを手にした。
「おい、神谷!?」
「先生―。山下紗季、体調不良で早退」
「・・・修平?」
「ついでに俺も早退っつっといてください」
修平はそう言うと紗季の手を引いて教室を出た。
そのままA組の教室まで歩く修平の背中を、紗季はボーっと眺めていた。
A組には移動教室なのか、誰もいなかった。
修平は自分のカバンを取ると、紗季を隣に座らせた。
「修平?あたし、別に具合悪くなんか・・・」
「こら!!またお前は意地っ張りだな」
「ったぁ~・・・。何すんのよ!」
紗季がおでこを押さえて怒り出す。
修平は目を閉じて紗季のおでこに自分のおでこをあてた。
「しゅ・・修平!?」
「ん。・・・37度8分だな」
〈おい、修平。頭の中で会話が出来るはずだ。俺との会話は念じて伝えろ。今何したんだ?
そいつ・・・大丈夫なのか?〉
リーフが修平に向けてそう言うと、修平はリーフを一瞥し、
しばらくしてから息をついた。