宿った命
『届いてるか?人間の体温は上がると大変なんだよ。紗季は今日はもう帰ったほうがいい
けど、大丈夫だよ』
〈そうなのか・・・。お前も帰るのか?〉
「紗季。帰るぞ」
「帰るって・・・次の授業は!?」
「だめだ。無理するとお前、すぐ体調悪化させるしな」
「でも・・・」
修平はリーフに返事をしなかったが、リーフはそれほど気にする様子もなく、
悲しそうな顔をして俯く紗季を見つめた。
何か・・・。
次の授業にあるんだろうか。
修平はそんな紗季を見つめて困った顔をした。
「次って・・・体育だろ。尚更ダメだって。明日もあるんだし、今日休んで明日
頑張ればいいだろ。な?」
「・・・・うん」
紗季が小さく返事をすると、修平は笑って紗季の頭を撫でた。
「ほら、帰るか」
「うん・・・」
修平が紗季に手を差し伸べて立ち上がらせる。
紗季のカバンと自分のとを左手に持ち、今朝と同じように手袋をすると教室を後にした。