宿った命


イリアは病弱だった。


体力のない体で、大きな魔法を使わなければならない日々が続いていた。


妖精界では、
魔法を使わない者はその命を消されてしまうという掟が存在していた。


ある日、イリアはとうとう魔力が薄れ、その命が消されかけていたそのときだった。






〈そこで助けてくれたのが、ラックだった〉




〈ラックが・・・?〉





≪イリアっていうんだね≫


≪あなた・・・誰?≫


≪僕はラック。君を助けてあげるよ≫




助けるなんて出来るはずがない。


なぜなら、掟は絶対であるから。


イリアはじっとラックを見つめて聞いた。


“そんなことができるのか”と。


ラックはそんなイリアに笑いかけ、そして口を開いたのだ。







―魂の定着で、君は元気になれる―





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