宿った命
“魂の定着”。
ラックはイリアに向かってそういった。
≪そんなの有り得ないわ。できるはずない≫
≪大丈夫。目を閉じて。次に目を開けたとき、君は生まれ変われる≫
イリアは半ば半信半疑でラックを見つめ、ゆっくりと目を閉じた。
そうすると意識は薄れ、深い眠りに落ちていくのが分る。
遠くなる意識の中、ラックが何かを唱えているのが聞こえ・・・―。
〈気付いたら、この体を手に入れていた。
いくら魔法を使っても、簡単には倒れないような、元気な体を〉
〈そんな・・・。まさか、ラックが“定着”まで出来るなんて・・・〉
『ちょい待て。“てーちゃく”ってそんなにすごいのか?それやったら俺も生き返るって
こと?』
〈“生き返り”なんてこの世界に存在しないわ。
いくら人間でもそれくらいは分るでしょ?
私はあの時、まだ“死んで”なかった。
だけど修平。あなたはもう“死んでるの。
“定着”は出来るけど、生き物には定着することは出来ない。
人間は勿論、犬や猫、
鳥なんかの命あるものにはなれない〉
イリアが修平を諭すように説明した。