宿った命
つまりはこうだ。
死ぬ前に魂の定着を行うと、そのまま“生き物”へと魂を乗りうつし、
“体”の交換をすることが出来る。
それを死んだものに行うと、
生き物ではない“物体”へと乗り移すことが出来ると・・・。
こういうことだ。
イリアは目を閉じて口を開いた。
〈私はラックに助けられた。だから今の私がある。ラックなら出来るわ。
人間での成功例はないけれど、やってみる価値はある〉
〈だけど・・・。ラックは自分の本当の力を信じていないんだ。
こんな話をしてもまた、機嫌を損ねるだけだと思うけど・・・〉
〈出来るわ。リーフ。あなたずっと一緒にいたのに信じてやれないの?〉
〈イリア・・・〉
イリアとリーフの会話を聞いていた修平は拳を握りしめ、
決心したように深く息をしてから言った。
『その定着に賭けてみたい。ラックは俺が説得する。俺は―』
―どうしても、紗季に会いに行きたいんだ―