宿った命
『おぅ!ありがとなー!!さすが妖精・・・っ』
〈や、やめろよ!頭ぐしゃっとすんな!!〉
〈おい、修平!こんだけやってお前まだ信じてなかったなー!?〉
『悪ぃ悪ぃ。別に笑ってなんかないって・・・。ただ・・・・』
リーフがムキになって修平につっかかると修平はラックの頭に手を置いて、俯いた。
〈・・・修平?〉
『ごめん・・・。何でもないんだ・・・・何でも・・・』
リーフとラックには、
修平が泣いているということは理解できていなかった。
ただ1人、イリアだけが、
修平の隠してみせた涙に気付き、そっと背中に触れていた。
*
〈いい?修平。成功するかどうかはわからない。
前例がない分、失敗したらどうなるかさえわからない。
それでもやるって覚悟はある?〉
『当たり前だろ。んなことわかってるよ』
ラックは強い修平の覚悟を感じ取り、静かに笑った。
〈じゃあ、あとは依り代となるものを決めるだけだけど・・・。
何がいいかな・・・〉
『依り代・・・って』
〈イリアも言ってただろ。魂の定着っていうのは、
修平の魂を乗り移す対象となる物体を用意しないと出来ないんだよ。
もちろん、生き物じゃないものでね〉
ラックがそう言って考えていると、修平は徐に指を指した。
〈修平・・・?〉
『あれにする』
修平が示したものを見て、イリアは首を傾げた。
リックとリーフには見覚えのある、記憶に一番新しく残っているものだった。