宿った命


『ラック。ありがとな。俺のために魔法、使ってくれて』


〈早く行ってやれよ・・・。紗季のとこにさ〉


『ああ。リーフ、行こうぜ』


〈はぁ?なんで俺なんだよ〉


『当たり前だろ。ぴょんぴょん飛んで学校まで行けってか?』


リーフは口を尖らせて渋々修平の前に立つと、
修平はリーフの頭にちょこんと飛び乗った。


〈なんで修平はいつも人の頭に・・っ!!〉


『あ。また耳赤いぞ。大丈夫か?』


〈うるさい!行くぞ!!〉


〈ラック。あなたはどうするの?〉


リーフと修平がぶつくさ言い合いをしながら学校へと向かって歩き出すと、
イリアはそっとラックに聞いた。


ラックはゆっくりと立ち上がってリーフの背中を見つめた。



〈行かないよ。ここにいる・・・〉


〈ねぇ、ラック。教えてあげようか?〉


〈え・・・?〉


〈あなたが、紗季に対して抱いている感情〉


イリアはバス停の前に作られた、
修平の雪だるまをつつきながら、ラックにそういった。


ラックはびっくりしてイリアを振り返ったが、すぐに目を閉じて首を横に振った。


〈いいや。知らないままで・・・〉


〈そう。ねぇラック・・・〉


〈何?イリア〉


〈助けてくれてありがとう・・・〉


〈俺も。背中を押してくれてありがとう。イリア〉






あの事故の日から初めての雪が降り出した。


それは静かに降りだし、まだ残っている雪道に溶け込んでいった。





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