宿った命
追憶
紗季はボーっと雪が降るのを眺めると、
ふと、視線を落とした。
その先には、修平の・・・。
雪ウサギの修平の姿があった。
初め、紗季はボーっとしてそれを見ていた。
「あ・・・・」
小さな声をあげた紗季・・・。
紗季を見上げた修平は、黙ったままじっと、
紗季を見つめていた。
紗季は胸の前に手を翳し、修平を見つめた。
「何・・・?何か・・・あたし・・・」
紗季の瞳が揺らぐのがわかった。
修平は真剣な目をして、息を一つすると思い切って口を開いた。
『紗季・・・。聞こえるか?紗季・・・』
・・・聞こえない。
当たり前だ。
そんなこと有り得るはずがない。
紗季には触れることも出来なければ
声をかけてやることもできやしないんだ。
修平は悔やんだ。
こんなに近くにいるのに。
こんなに紗季を想っているのに・・・。
紗季は自分のことはもう―
「・・・しゅう・・・・へい・・?」
『え・・・・?』