宿った命


「修平・・・。修平!!」


ポタポタと、零れ落ちる涙が雪を少しずつ溶かすように溢れる。


紗季は全部思い出したのだ。


修平と過ごした時間も、あの事故のことも全部・・・。


そして、自分の修平に対する気持ちも・・・。


「修平・・会いに来てくれたの・・・?あたしに、会いに来てくれたの?」


修平は頷くようにぴょん、と跳ねた。


紗季は目に涙を浮かべて小さく笑った。


その時、紗季の涙ではないものが、俺の体を濡らした。


〈これは・・・っ!!〉


「雨・・・?」


紗季が空を見上げる。


いつの間にか降り続くのは雪ではなく、雨に変わっていた。


サーっと優しく降り注ぐ雨は俺の体を無情にも濡らし続ける。




「修平・・・っ!!」



『体が・・・!?』



〈修平!雪が溶けてしまったらお前の魂も消えてしまうぞ・・・っ!!〉



それまで見守っていたリーフが修平に向かって叫んだ。


「修平、待って。消えないで。いなくならないで・・・っ!」


紗季は段々と解け始めている俺の体に気付き、
急いで屋上を出ようと扉まで走った。



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