宿った命












〈こんなこと・・・有り得ない・・・〉


リーフはただ、つぶやくことしか出来なかった。


こんなことあるんだろうか。


紗季の手の中から飛び出した修平は
紗季が階段を踏み外し真っ直ぐに落ちていくその前に、


下に着地すると、両手を広げた。





リーフは確かにその姿を見た。




ちゃんと、人間の形をした修平の姿を。





両手を広げて紗季をしっかりと受け止める修平を、
リーフはそのエメラルドの瞳に映していた。






「しゅうへ・・・・修平!?」



修平は紗季を強く抱きしめ、壁にもたれかかっていた。



「やっと・・・、やっと触れられた」


修平はそう、静かに呟いた。



紗季は顔をあげて修平の顔を見た。




依り白としての修平ではなく、
ちゃんと形ある修平の顔を。





「紗季・・・好きだよ」





「修平・・・・」





「最後まで、守ってやれなくてごめんな」




修平は悲しそうに顔を歪めて笑うと、
紗季の頭をくしゃっと撫でた。





「俺がいなくなっても、泣かないで。ずっと、傍にいるから・・・」




「修平・・・・あたし・・・あたしも・・・・っ!!!」







「紗季・・・。最後にお前と会えて嬉しかったよ」






―修平・・・っ!!―











ずっと傍にいるから。だから、泣かないで。紗季―。









< 50 / 63 >

この作品をシェア

pagetop