宿った命











〈ラック・・・〉



〈リーフ。修平は・・・?〉



〈・・・。修平は、ちゃんと約束を守ったよ〉



〈・・・じゃあ〉




〈紗季、ちゃんと思い出したんだ。
 修平は傷つけることなく、紗季の気持ちもちゃんと守ったよ〉



〈よかった・・・・〉




〈修平、今、どうしてるんだろうな〉




〈・・・・そうだね・・・〉











気付くと紗季は、1人だった。


自分が倒れているそばには
ぐちゃぐちゃに壊れた雪ウサギの姿があった。



紗季はそっと手をのばして雪に触れる。


それは不思議と冷たくなく、温かかった。


体を起こして、その雪を胸の前で抱きしめる。



まだ、修平の温もりが残ってる。


抱きしめられた感触も、頭にのこる大きな手のぬくもりも・・・。







「修平・・・・。あたしも・・・好きだったよ・・・」






廊下に響く紗季の小さな声。







そこに修平は、もういない。







紗季の頬には涙が伝っていた。






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