宿った命
*
〈ラック・・・〉
〈リーフ。修平は・・・?〉
〈・・・。修平は、ちゃんと約束を守ったよ〉
〈・・・じゃあ〉
〈紗季、ちゃんと思い出したんだ。
修平は傷つけることなく、紗季の気持ちもちゃんと守ったよ〉
〈よかった・・・・〉
〈修平、今、どうしてるんだろうな〉
〈・・・・そうだね・・・〉
*
気付くと紗季は、1人だった。
自分が倒れているそばには
ぐちゃぐちゃに壊れた雪ウサギの姿があった。
紗季はそっと手をのばして雪に触れる。
それは不思議と冷たくなく、温かかった。
体を起こして、その雪を胸の前で抱きしめる。
まだ、修平の温もりが残ってる。
抱きしめられた感触も、頭にのこる大きな手のぬくもりも・・・。
「修平・・・・。あたしも・・・好きだったよ・・・」
廊下に響く紗季の小さな声。
そこに修平は、もういない。
紗季の頬には涙が伝っていた。