午前0時にキスして
そんな気持ちが伝わって来るから目の前にあるシャンパングラスに口をつけると微笑むしかできなかった。
「返事急がないから」
優しい彼の笑顔は、誰が見ても極上の幸せに見えた。
目の前でシャンパングラスを手に持ち私を見つめる、彼、篠原涼太(しのはらりょうた)28歳と出会ったのは半年前の事。
買い物をしている時、雨が突然降り出し目に飛び込んできた本屋で雨宿りをしていた。
ふと本棚に視線を落とす。子供の頃読んだ本が目に止まり手に取ろうとした瞬間、彼と視線が重なり・・・
会って行く内に押し切られるように恋に落ちた。
その押し切られるように恋の落ちたのは水無月凪(みなづきなぎ)23歳私の事。
長野の田舎町にある水無月家の3女として生まれた。