君との初
帰り道。


二人っきりだ。


チャンスだよね?


あたしは自分から誘ってみる。


「さっ、佐久夜…」


「あ?」


誘うのも、結構勇気いるんだなぁ…。


でも君のために頑張るって、決めたから。


「あたしとっ…きっ、き…ッ…」


あーもう、あたしの意気地なし!


「キ?」


問いかけてくる佐久夜が、急にカッコよく見えてくる。


「きっ…きす…ッ!」


「キスがどうかした?」


平然としている佐久夜を見て、感心する。


あたしも頑張らないと!


思い切って言うんだ!


「さっ、佐久夜としひゃい!」


あ、ぁ、あぁあああ!!


噛んじゃった…。


…ッ最悪…。


「あ、あの佐久……っ?!」


いきなり佐久夜のたくましい腕に、包まれる。


「佐久夜!?」


「…お前、可愛いすぎだし」


「っ?!」


佐久夜の唇が重なる。


それは、とろけてしまいそうなほど甘かった。


「…んっ…あ…」


思わず、口から吐息が漏れる。


「そういうの、他のやつに見せんなよ」


…佐久夜、好きだよ。


「…見せないよ…だって、あたしは佐久夜のモノだから…」


…言っておいてだけど、これ、すごく恥ずかしいセリフだよね…?


あたしは、顔が赤くなるのを感じて、顔を隠した。


その手を佐久夜はよけて、あたしの目をじっと見た。


「ずっと、我慢してたのにな…。お前が怖がるから」


あたしのために我慢してくれてたの?


…あたし、佐久夜の事もっと好きになったよ。


あたし達は、何度も何度も、唇を重ね合わせた。
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