【完】『遠き都へ』
帯屋町まで戻ると、
「…閉まってるかもしれないな」
言いながらアーケードを歩いた。
すると。
閉店の支度をするあゆみが看板を片付けている。
視線に気づいた。
「…桜井くん」
「清家、いるかな?」
あゆみは首を横に振った。
「そっかぁ…」
「…待って」
話があるの、とあゆみは呼び止めた。
「話?」
「清家くんがいると話しづらいから、言わなかったんだけど」
どうやら大介にはあんまり知られたくない内容らしかった。