【完】『遠き都へ』
一方。
「安幕部(あまかべ)ちゃん、こんな朝早くから悪いね」
「てか先生、うち徹夜あけなんですけど」
理一郎のアシスタントの安幕部忍は渋面を作った。
「しかし安幕部ちゃんが京都生まれだとは、知らなかったなぁ」
「一応、京女ですよって」
そのわりには見た目がショートカットでさながらモンチッチなのである。
「京女のわりには色気ないなぁ」
「変に色気出したらセイラさんみたく夜の相手につきあわされるから嫌です」
忍はやりかえした。
「きっついなー」
「ちゃんと先生がしぃひんから、こんなんなるんちゃいます?」
口の立つ忍に言われると、理一郎には返す言葉もない。
「ひとまず東京駅、だな」
「はい」
忍とタクシーに乗り込むと、
「東京駅まで」
と理一郎は言い、あとは席で眠ってしまった。
こうして。
東京駅で理一郎とセイラは落ち合うと、聖と忍を供に、新幹線の車上の人となって、京都を目指した。
「安幕部(あまかべ)ちゃん、こんな朝早くから悪いね」
「てか先生、うち徹夜あけなんですけど」
理一郎のアシスタントの安幕部忍は渋面を作った。
「しかし安幕部ちゃんが京都生まれだとは、知らなかったなぁ」
「一応、京女ですよって」
そのわりには見た目がショートカットでさながらモンチッチなのである。
「京女のわりには色気ないなぁ」
「変に色気出したらセイラさんみたく夜の相手につきあわされるから嫌です」
忍はやりかえした。
「きっついなー」
「ちゃんと先生がしぃひんから、こんなんなるんちゃいます?」
口の立つ忍に言われると、理一郎には返す言葉もない。
「ひとまず東京駅、だな」
「はい」
忍とタクシーに乗り込むと、
「東京駅まで」
と理一郎は言い、あとは席で眠ってしまった。
こうして。
東京駅で理一郎とセイラは落ち合うと、聖と忍を供に、新幹線の車上の人となって、京都を目指した。