【短編】さくらいろ。
……ふふっ、やっぱ、私が知ってるあなただ。
「ありがとう。何でもないから心配しないで。じゃあね」
私は精一杯の笑顔でバイバイを言う。
だけどあなたは表情を曇らせたまま、言葉を探すように私を見ていた。
「……橋崎さん、俺、頼りないかもしれないけど、力になりたい」
誰にでも優しいあなたらしい言葉ね。
「橋崎さんの力になりたい」
「ありがとう。でも、いいの」
「誰にでも言うわけじゃないんだ。君だから言ってるんだ」
「どういう意味?」