【短編】さくらいろ。
「き、君のことが……好きなんだ」
何言ってるの?
あなたは私のことなんて何とも思ってなかったけど、優しいから、断れなかったから私と付き合ってくれてたんでしょ?
『好き』なんて言葉、ただの1回も聞いたことなかったのに、なんで今そんなこと言うの?
「ずっと好きだった。俺と付き合って欲しい」
「……バカ」
「え?」
「私は嫌い。大嫌い!!」
すべてを断ち切るように背を向けたのに、すぐに腕をつかまれて、気がつくと彼に抱きしめられていた。