【短編】さくらいろ。
「……す、き……だよ……だから……」
苦しくて、苦しくて、しぼり出した声は震える。
「俺が悲しむから嫌いって言ってくれたんだ。ありがとう」
私を包む腕の力が強くなる。
「私が死んだら悲しいでしょ?」
「そりゃ悲しいよ。でも、今ここでこのまま君が居なくなる方がずっと悲しい」
あなたは今年の冬、私を事故で失うんだよ。
それでも一緒にいたいと言ってくれる?
それでも一緒にいてもいいの?