嘘つきな彼に嘘つきの歌を
お弁当箱の半分が、アスパラガスのベーコン巻きで埋め尽くされているその光景は、まさにシュールとしか言いようがなかった。
しかも、アスパラガスを切らずに丸ごとベーコンで包んでいるので、異様にアスパラガスが大きい。大きすぎて入りきらなかったアスパラガスが、狭いおかずのスペースでとぐろを巻いている。
「ど、どうかな……? 」
かすかに頬を赤らませて、私の反応をうかがう亜依さん。
たしか前にもこんなことがあった。
「……亜依さんのがんばりがとてもよく伝わるわ」
下手なことは言わず、にっこり笑ってやり過ごす。
パッと明るくなった亜依さんの顔を見ながら、私はあと1,2週間もすればこのアスパラガスのベーコン巻きを食べさせられるであろう殿方に、心の中でそっと手を合わせた。