嘘つきな彼に嘘つきの歌を
「お友達ですか? 」
翌日も、1週間後も、私はまだ此所にいた。
「あの……優実」
その日は、彼女にしては珍しく、おずおずと声をかけてきた。
ああ、いよいよか。
思えばこの1週間と少しの間で、亜依さんの料理はうまくなっていた。と思う。
相変わらずアスパラガスはとぐろを巻いているが、味や焼き具合は最初の頃よりもうまくできているだろう。
今日のお昼は用事があって一緒に食べることができない、というような内容のことを、彼女らしくないもごもごとした口調で私に言った。
「そう。わかった」
少し残念気な声色で返事をしたとき、チャイムが鳴った。
席に戻る亜依さんを呼び止め、口パクをした。
"がんばってね"
真っ赤になった亜依さんは、それでも嬉しそうに勢いよくうなずいた。