あなたをもっと好きになる。
入ってきたその人は、手に持っていた教材をバサッと乱雑に教卓の上に置いた。
……そんなに雑に扱ったら、すぐぼろぼろになるって言ったのに。
紺で黄色のラインが入ったジャージに身を包んだ彼。
黒ぶちのメガネをかけ、異様に大人の色気を纏った彼は、この学校に新任できて今年で3年目。
午前はスーツを着ているせいか、キチッと整えられた黒髪も、午後となればラフにくしゃっとセットされている。
「ほらほら、早く席つけよ。」
そう言いながら彼は、めんどくさそうに前髪をかきあげた。
あーだるそう。てゆうか俺だって授業やりたくねーんだよっていう心の声がだだ漏れですけど。
そう思っていると、ふいに彼と目があった。
……しかも、少しだけ口角を持ち上げて、笑いかけてきた。