あなたをもっと好きになる。
そんな光景を窓枠に寄りかかりたばこをふかしながらぼーっと見ていると、沢田がこちらを指差してなんか言っているように見える。
「今日も木下に勉強教わってたのか」とでも言っているのだろう。
……こっから見ても、真奈の反応がわかる。
「………わかりやすいやつ。」
俺の言葉や行動に一喜一憂して、顔を真っ赤に染めたりする。
……そんな真奈が見たくて、缶コーヒー買ってくる俺も俺だよな。
その反応が見たくて、愛犬をエサで釣ってるみたいな。
……案の定、だったけどな。
「……かわいいやつ。」
木下先生がたばこの煙と共に吐き出したことを、私は知らない。
私が沢田くんとバイバイをして、校門を出るまで、姿が見えなくなるまで、
先生が見てたなんてこと、私は知らない。
((あなたをもっと好きになる。)) fin.